新・自然遊悠学

yuuyuugaku.exblog.jp
ブログトップ
2014年 01月 16日

677 落武者イワナ

 私の住んでいる近くに湯西川という温泉地がある。福島県と栃木県の背中合わせの地域で山国らしい雰囲気を持っている。また平家の落人伝説が有名な温泉地がある。シーズンを通して各種催しがお客を巧みに誘っている。まもなく冬のイベント、かまくら祭りがあり雪囲いの小型化かまくらに明かりがともる懐かしい風景がここにある。
 源氏に追われた平家人の威力であろうか、湯西川には県境までの広大な地域すべてを共有財産区に指定されている。かなり前に湯西川国有林区域をめぐって、湯西川住民と国による裁判が実施され見事? 地元に軍配が上がり、国有地は湯西川のものとなった。平家伝説落武者亡霊はさまざまな人間に影響を与えている気がする。

 埼玉・群馬・栃木三県脊梁山地のイワナ地域を北関東エリア渓流群と呼ばれている。首都圏であるからシーズンインとなれば太公望たちによる往来で大変混雑する。下流にフライフィッシャーマン、ルアーで攻める釣り人、上流には餌釣りでイワナ釣る人、それは人、人、人の羅列がみられる。かの有名なかつて秘境といわれた奥利根さえマイボート釣行が重なり釣り人は絶えない。

 理由があって下野三依に移り住んで10年余、この地をベースキャンプ地として山釣りをやっている。最近、有名渓流の釣行は控えている。それは他の釣り人とのイワナ場鉢合わせを避けているからだ。それに北関東エリヤイワナ釣行はすでに調査済み、あの渓流イワナとの再会など夢のまた夢、昔の想いでなど望むことは不可能だからである。

 現在と40年前、イワナの魚影はどのくらいの差があるのだろうか。「1対100」と私は判断している。散歩コース内である男鹿川には天然生まれのイワナは全くいない。埼玉に自宅があった時代、地の利がある男鹿川釣行を重ねたもんだ。入門当時であるから今のようなイワナ釣りはできない素人釣り人であった。それでも1尺に近い天然イワナを釣り上げることができた。

 イワナのいなくなった原因は多々ある。この問題はここでは取り上げない。現在イワナの実情を考慮すれば、平家の落武者のような「落武者イワナ」がかろうじて源流の小渓流に残存棲息しているにすぎない。湯西川住民のような天から贈られた産物など皆無なのが、今のワナたちの孤立状態を物語っている。たった1パーゼントになってしまったイワナたちの争奪戦は今年も実施されようとしている。
[PR]

by yuuyuugaku-ueno | 2014-01-16 15:38 | 岩魚物語


<< 678 料理人見習い      676 文章 >>